総監修:東京医科歯科大学 理事・副学長 渡辺 守 先生

日常生活のポイント

寛解期であれば、普段の生活で制限すべきことは特にありません。きちんと治療をしていれば、通常の生活を送ることができます。
また、寛解期を長く継続するために、病状が安定しているときも治療をおろそかにしないことが大切です。自己判断で薬をやめず、主治医の指示に従って治療を続けていきましょう。

食事

食事

基本的に食事制限の必要はありません

激しい下痢が続いている状態でなければ、基本的に食事制限の必要はありません。消化しやすい、おなかに良いという理由で特定のものばかり食べ続ける食事は偏りが生じやすく、かえって栄養不足を招く可能性があります。むやみに制限をせず、バランスの良い適量の食事を心がけましょう。

バランスの良い食事とは・・?

さまざまな栄養素を過不足なくとれる食事です。
この組み合わせを基本にすると、偏りのない食事が摂れます。

間食やデザートで乳製品や果物も取り入れましょう。

デザート 果物 乳製品

下痢が続いている場合には、無理をせず、消化しやすいものを少しずつ口にしてみましょう。
また、冷たいものは消化管を刺激するため、温かいものを一口ずつゆっくり飲み込むようにしましょう。

渡辺 守 監修.; 新版 潰瘍性大腸炎・クローン病がよくわかる本, 講談社,2019

飲酒

飲酒

適量飲酒を心がけてください

寛解期であれば、飲酒は可能です。ただし、大量のアルコールは、消化管粘膜の粘膜を傷害する危険性があるため、適量摂取を心がけてください。下痢が続いている状態であれば、飲酒は控えてください。

喫煙

喫煙

禁煙が望まれます

現時点では、喫煙により、潰瘍性大腸炎が悪化するという報告はありません。
ただし、喫煙による呼吸器系や循環器系への悪影響を考慮すると、禁煙して寛解状態の維持ができることが望まれます。

併用する薬について

併用する薬について

他のお薬を服用する際には、主治医や薬剤師に相談しましょう

お薬の中には、消化管の粘膜を障害したり、現在服用しているお薬と併用することにより、作用の増強や現弱を起こす可能性のあるお薬があります。潰瘍性大腸炎の治療以外のお薬(市販の痛み止め、風邪薬など)を服用する場合は、主治医や薬剤師に相談をしてください。

妊娠・出産について

妊娠・出産について

妊娠を希望される場合には、必ず主治医に相談しましょう

寛解期であれば、おおむね安全に妊娠・出産が可能であると言われています。また、男女とも不妊率が上がることはありません。
一方、活動期に妊娠・出産を迎えると、炎症を抑えることが難しくなり、病状が悪化する危険が増すこともあります。また、女性の患者さんは妊娠しづらくなる可能性があると言われています。
妊娠を希望される場合には、必ず主治医に相談しましょう。

主治医に相談